ビジネスパートナー管理方針
第1部 ビジネスパートナーの経営陣及び従業員に対して
A.目的
1.株式会社アシックス、その子会社及び関連会社(以下、まとめて「アシックス」という)は供給業者(製造業者を含む)、請負業者(下請業者)、仲介業者、広告代理店、コンサルタント及びその他のサービス提供業者(以下、まとめて「ビジネスパートナー」という)に対し、本方針に示される最低要件を満たして事業を推進することを求める。
2. 本方針で定める最低要件は、「アシックススピリット」、「アシックスCSR方針」及び「アシックスグローバル行動規範」(これらは、アシックスのウェブサイト [1] からアクセス可能である)に基づき、かつ国際労働機関(ILO) [2] の基本条約及び世界スポーツ用品工業連盟(WFSGI) [3] 行動規範モデルに沿ったものである。
3. 本方針の主たる目的は、以下のとおりである。
(a)環境の保護、人権の擁護、健康と安全を含む健全な職場の維持、賄賂及び腐敗行為の防止、反トラスト及び競争法の違反防止、及びプライバシーの保護に関する最低要件をビジネスパートナーに対して知らせること。
(b)ビジネスパートナーに、全ての施設でその最低要件を確実に遵守させるようにすること。
4. 本方針は、アシックスの企業責任に関する中核文書であり、ビジネスパートナーを選択し、また、取引を継続する際の基準の本質的な部分である。ビジネスパートナーは、本方針への遵守を証明するために必要な書類を全て保存し、アシックスの要求に応じ、適用法を尊重しながら、当該書類をアシックスに提示する。また、ビジネスパートナーが本方針を遵守しているか否かについて、アシックスもしくはその指定する独立した監査人は、取引開始時の監査及びその後のフォローアップ監査を、アシックスの事前通知の有無にかかわらず実施することができる。ビジネスパートナーには、監査で個人またはグループのインタビューに参加したすべての従業員に対して報復禁止(不利益取扱い禁止)の原則を適用することが求められる。
B.基準
アシックスは、最低でも以下の基準に従って事業を運営することをビジネスパートナーに求める。
1.一般原則
-ビジネスパートナーは、各々の事業運営に適用される全ての法令、規制及びその他の政策制度(以下、まとめて「法令」という)を完全に遵守するとともに、事業活動が行われる施設の設置認可基準や安全要求を遵守して事業を運営する。
2.環境基準
-ビジネスパートナーは、事業運営に対して適用される全ての環境関係法令を遵守する。また、ビジネスパートナーは、環境及び安全に関する事項に配慮して事業を運営する。ビジネスパートナーは、温室効果ガス排出削減対策や、持続可能な調達の実施、再生可能エネルギー・環境データの追跡、汚染・廃棄物発生の抑制、水・原材料等の資源の有効活用、有害物質の使用及び排気ガスの削減を行う。
3.雇用基準
-ビジネスパートナーは、いかなるその従業員(以下、「従業員」という)の雇用に関しても以下の基準を遵守する。
(1)強制労働の禁止:
全ての従業員に対し、暴力、暴力の脅威、またはいかなる形の威嚇によっても労働を強いることはできない。
ビジネスパートナーは、囚人労働、債務労働、奴隷労働などの形態を問わず、強制労働につながる可能性がある状況を排除するため、雇用費用の雇用主負担の原則 [4] 及び責任ある雇用 [5] の慣行を遵守するものとする。
従業員は、雇用その他の費用を負担することなく、旅券を自己管理し、移動の自由が確保されるものとする。さらに移民の従業員は、移住及び労務を開始する前に自身の雇用の基本的な条件について知る必要がある。
従業員、特に移民の従業員は、彼らの母国語で作成された労働契約の写しを受け取り、かつ報復禁止(不利益取扱い禁止)の原則に従った苦情処理メカニズムの利用が求められる。
法的拘束力のある雇用関係
雇用の本質が恒久的であることを踏まえ、労働・社会保障法令そして、正規の雇用関係に関する規定に対する責務を、技術伝承を意図しない徒弟制、正規でない雇用で置き換えることは出来ない。
若年の従業員には、教育訓練プログラムに参加する機会を提供しなければならない。
(2)児童労働の禁止:
ビジネスパートナーは、15歳未満の者、または雇用国での義務教育終了年齢が15歳以上の場合にはその終了年齢に満たない者を雇用しない。
18歳未満の若年労働者は、その仕事の性質上もしくはその時の状況によって、健康、安全、もしくは道徳心を害するおそれのある労働を行ってはならない。
(3)嫌がらせまたは虐待の禁止:
ビジネスパートナーは、全ての従業員に身体的、性的、精神的、また言葉による嫌がらせや虐待を受けない権利があることを認識し、尊厳を守り、敬意を持って従業員に対する。
(4)差別の禁止:
ビジネスパートナーは、募集、採用、解雇、成長の機会、啓発、昇進、研修・訓練に関する従業員の選定、賃金及び手当の決定、懲戒処分を含む雇用条件について、信条、国籍、民族的出自、宗教、政治信条、年齢、ジェンダー、性的指向、性自認、健康状態、身体的または精神的健康または遺伝情報によって差別しない。
(5)結社の自由及び団体交渉の権利:
ビジネスパートナーは、従業員が自らの選択で団体を組織したり、団体に参加したりする権利、及び団体交渉を行う権利を認め、尊重する。
ビジネスパートナーは、結社の自由及び団体交渉の権利が法律によって制限されている場合、独立した自由な結社及び団体交渉の代替手段の保有をすべての従業員に推奨する。
ビジネスパートナーは報復禁止(不利益取扱い禁止)の原則に従う。
従業員の代表は差別または報復の対象にはならず、代表者としての職務遂行に必要なすべての職場を利用できるものとする。
(6)報酬:
ビジネスパートナーは、従業員に対して労働時間全てについての報酬を全額公正に支払い、支払期間ごとの明瞭な支払明細書を提供する。
補助的なもの及び他の給付金を含めて報酬とともに支給されるべき賃金は、公正かつ基本的な生活での需要を満たすのに十分であるだけでなく、可処分所得も含む金額を提供すべきである。
ビジネスパートナーは、従業員に対して、少なくともa)適用法が定める最低賃金、またはb)業界の一般的賃金のいずれか高い方を支払う。また、従業員に対し、通常の労働時間への報酬に加え、超過労働時間に対しては少なくとも適用法が定める割増率で、もしくは適用法が存在しない国では通常の時給の25%以上の率で報酬を支払う。
ビジネスパートナーは、全ての従業員に対し、最低でも法的に義務付けられた手当全てを支給する。
懲戒処分としての、賃金からの控除をしてはならない。国内法で定められていないいかなる控除も認められない。法定の控除によって、従業員の受け取る賃金が最低賃金を下回ってはならない。
(7)労働時間:
ビジネスパートナーは、例外的な状況以外では週60時間(通常の労働時間に時間外労働を加えた合計)、または適用法が定める時間のいずれか少ない方を上回る労働は要求しない。
適用法により1週60時間を超えて労働することが許容される場合であっても、
雇用主が事前に定め、アシックスが書面で了承した例外的な場合にのみ週60時間を超える労働は許容される。
ビジネスパートナーは、従業員に対し、
- a)7日ごとに少なくとも24時間連続する休日を与えること
- b)適用法で求められる年次有給休暇を与えること、及び
- c)残業ができない従業員がいかなる形の報復も受けないこと
を保証する。
(8)健康及び安全:
ビジネスパートナーは、適切な照明、温度調節、及び換気システムなどを含め、安全かつ健康的な労働環境を提供する。
ビジネスパートナーは、産業及び施設に関連する特定の危険性を考慮しながら、労働安全衛生をよりよくするための教育を実施しなければならない。
加えて、ビジネスパートナーは、個人保護具を従業員に無償で提供する。ビジネスパートナーの従業員は、適切で清潔な衛生施設を常時利用できる。従業員に宿泊施設(寮施設)が提供される場合には同じ基準が適用される。
4.賄賂防止及び腐敗行為防止に関する基準
ビジネスパートナーは、適用のある賄賂防止及び腐敗行為防止に関する法令を遵守し、賄賂及び腐敗行為に決して関与してはならない。特に、政府または公務員と取引を行うビジネスパートナーは、賄賂または腐敗行為に関与しているのではないかとの疑念を生じさせないよう特に注意を払わなければならない。
この結果、贈答、接待、ビジネス円滑化のための支払い、キックバックが禁止される場合がある。
ビジネスパートナーは賄賂防止及び腐敗防止に関する法律が国を越えて適用される場合があることを認識しなければならない。
5.反トラスト及び競争に関する基準
ビジネスパートナーは、適用のある反トラスト及び競争に関する法令を遵守しなければならない。これらの法令を完全に遵守するために、ビジネスパートナーは、以下の行為が多くの国において厳格に禁止または制限されていることを認識し、ビジネスパートナーには、そのような行為を回避するか、少なくとも法務部門または外部専門家に事前に相談することが求められていることを認識しなければならない。
- a)価格を決める契約または取り決めを競争相手と行うこと
- b)市場または顧客の共有についての契約または取り決めを競争相手と行うこと
- c)ある事業者とビジネスを行わない旨の契約または取り決めを競争相手と行うこと
- d)競合企業を市場から排斥するためにコストよりも低い価格を設定すること
- e)他社製品の価値を下げる宣伝等を行うこと
ビジネスパートナーは反トラスト及び競争に関する法律が国を越えて適用される場合があることを認識しなければならない。
6.プライバシー保護に関する基準
ビジネスパートナーは、適用のあるプライバシー保護に関する法令を遵守しなければならない。ビジネスパートナーは、個人情報の漏えい及び濫用がビジネス及び社会にとって有害であり、人々から会社への信用と信頼を奪うことを認識しなければならない。
第2部 ビジネスパートナーの経営陣に対して
A. 周知徹底
ビジネスパートナーは、従業員の話す言葉に本方針第1部を翻訳し、文書化しての配布や目立つ場所への掲示、あるいは口頭による説明によって伝達し、本方針を従業員に理解させるよう最善を尽くす。
本方針の情報が口頭で伝えられた場合には、従業員は、要請することにより、ビジネスパートナーから本方針の「第1部」の写しを受け取る権利を有する。
アシックスはビジネスパートナーが当社の方針に基づいて独自の行動規範を作成し、その内容を従業員に定期的に教育することを強く推奨する。
B. 本方針の違反
ビジネスパートナーが本方針に定める義務に違反した場合、アシックスは、その判断により以下の両方もしくはいずれかを行うことができる。
- a)ビジネスパートナーに対して即座に違反を是正するよう要求することができる。
- b)アシックスとビジネスパートナーとの間の契約を終了させることができる。
しかしながら、アシックスとビジネスパートナーとの間での書面による個別合意でこれと異なる内容が合意されている場合は、かかる合意が優先する。
C. 責任及び補償
ビジネスパートナーは、本方針の違反に起因または関連してアシックス及びその従業員・役員・取締役に生じうる全てのいかなる損害、損失、コスト、費用についても、責任を負う。
また、ビジネスパートナーは、本方針の違反に起因または関連する全てのいかなる請求、提訴、要求、訴訟手続き、損害、損失、コスト、費用についても、アシックス及びその従業員・役員・取締役を免責し、損害を生じないようにさせる。
D. 保護される開示(内部通報)
ビジネスパートナー、その従業員、役員及び取締役は、アシックスのグローバル内部通報ラインへ、アシックスによる違法な行為、受け入れがたい行為、好ましくない行為あるいはそれらの行為の秘匿行為について、通報することができる。アシックスのグローバル内部通報ラインに通報したビジネスパートナー、その従業員、役員及び取締役は、通報を理由としたアシックスによる不利益な取り扱いから守られる。
アシックスのグローバル内部通報ラインの詳細は、アシックスのウェブサイトに掲げられている [6] 。
私は、正当な代表者として、本ポリシーの全て(第1部及び第2部)を読み、完全に理解し、承諾しましたので、以下に署名します。
(社名)
(署名)
(氏名)
(役職)
[1] https://corp.asics.com/jp/csr[2] https://www.ilo.org/global/standards/introduction-to-international-labour-standards/conventions-and-recommendations/lang--en/index.htm
[3] https://www.wfsgi.org/sites/default/files/inline-files/WFSGI%20Code%20of%20Conduct%202016.pdf
[4] https://www.ihrb.org/employerpays/the-employer-pays-principle
[5] https://www.aafaglobal.org/AAFA/Solutions_Pages/Commitment_to_Responsible_Recruitment
[6] https://corp.asics.com/jp/p/global-policy-on-protected-disclosure-whistleblowing